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2019年10月29日火曜日

厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進(各事業者向けガイドラインについて)-3









第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例
(1)不当な差別的取扱いと考えられる例
事業者が福祉サービスを提供するに際して、次のような取扱いをすること
は「不当な差別的取扱い」となるおそれがあります。
ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではありま
せん。また、客観的にみて正当な理由が存在する場合(第2(1)②参照)は、
不当な差別的取扱いに該当しない場合があることにご留意ください。



○サービスの利用を拒否すること
・ 人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、医
療的ケアの必要な障害者、重度の障害者、多動の障害者の福祉サービス
の利用を拒否すること
・ 身体障害者補助犬の同伴を拒否すること
○サービスの利用を制限すること(場所・時間帯などの制限)
・ 正当な理由なく、対応を後回しにすること、サービス提供時間を変更又
は限定すること
・ 正当な理由なく、他の者とは別室での対応を行うなど、サービス提供場
所を限定すること
・ 正当な理由なく、サービス事業所選択の自由を制限すること(障害当事
者が望まないサービス事業者をすすめるなど)
・ サービスの利用に必要な情報提供を行わないこと
○サービスの利用に際し条件を付すこと(障害のない者には付さない条件を付
すこと)
・ 保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること
・ サービスの利用に当たって、他の利用者と異なる手順を課すこと(仮
利用期間を設ける、他の利用者の同意を求めるなど)
○サービスの利用・提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること
・ 正当な理由なく、行事、娯楽等への参加を制限すること
・ 正当な理由なく、年齢相当のクラスに所属させないこと
・ 本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかけること
・ 正当な理由なく、本人の意思又はその家族等の意思(障害のある方の
意思を確認することが困難な場合に限る。)に反して、福祉サービス(施
設への入所、通所、その他サービスなど)を行うこと
■ 身体障害者補助犬とは
「身体障害者補助犬」は、目や耳や手足に障害のある方の生活をお手伝い
する、「盲導犬」・「聴導犬」・「介助犬」のことです。
身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別な訓練を受けています。
補助犬の種類
○盲導犬
目の見えない人、見えにくい人が街なかを安全に歩けるようにサポートします。障
害物を避けたり、立ち止まって曲がり角を教えたりします。ハーネス(胴輪)をつけて
います。
○介助犬
手や足に障害のある人の日常の生活動作をサポートします。物を拾って渡したり、
指示したものを持ってきたり、着脱衣の介助などを行ないます。“介助犬”と書かれ
た表示をつけています。
○聴導犬
音が聞えない、聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。玄関のチャ
イム音・FAX 着信音・赤ちゃんの泣き声などを聞き分けて教えます。“聴導犬”と書
かれた表示をつけています。
補助犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることのできるさ
まざまな場所で受け入れるよう義務づけられています。「犬だから」という理由で受け
入れを拒否しないでください。
補助犬の同伴を受け入れる義務がある場所
・ 国や地方公共団体などが管理する公共施設・ 公共交通機関(電車、バス、タクシー
など)
・ 不特定かつ多数の人が利用する民間施設-商業施設、飲食店、病院、ホテルなど
・ 事務所(職場)-国や地方公共団体などの事務所-従業員50 人以上の民間企業
補助犬の同伴を受け入れる努力をする必要がある場所
・ 事務所(職場)-従業員50 人未満の民間企業
・ 民間住宅
補助犬の受け入れ施設の方へ
●補助犬は、ユーザーの指示に従い待機することができるので、特別な設備は必要あり
ません。
●補助犬の同伴を受け入れる際に他のお客様から苦情がある場合は、「身体障害者補助
犬法」で受け入れ義務があること、補助犬の行動や健康の管理はユーザーが責任をも
って行なっていることを説明し、理解を求めてください。
●補助犬が通路をふさいだり、周りのにおいを嗅ぎ回ったり、その他、何か困った行動
をしている場合は、そのことを補助犬ユーザーにはっきり伝えてください。
●補助犬を同伴していても、補助犬ユーザーへの援助が必要な場合があります。補助犬
ユーザーが困っている様子を見かけたら、まずは声をかけたり、筆談をしたりコミュ
ニケーションをとってください。(2)合理的配慮と考えられる例
事業者は、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要
としている旨の意思の表明があった場合には、次のような合理的配慮を提供
することが求められています。合理的配慮を提供する際には、障害者の性別、
年齢、状態等に十分に配慮することが必要です。
ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではあり
ません。また、事業者に強制する性格のものではなく、ここに記載された事
例であっても、事業者の事業規模等によっては過重な負担となる可能性があ
るため、事業者においては、法、基本方針及び本指針を踏まえ、具体的場面
や状況に応じて柔軟に対応することが期待されます。
なお、合理的配慮の提供に当たっては、個別の支援計画(サービス等利用
計画、ケアプラン等)に位置付けるなどの取組も望まれます。
○基準・手順の柔軟な変更
・ 障害の特性に応じた休憩時間等の調整などのルール、慣行を柔軟に変
更すること
○物理的環境への配慮
・ 施設内の段差にスロープを渡すこと
・ エレベータ-がない施設の上下階に移動する際、マンパワーで移動を
サポートすること
・ 場所を1階に移す、トイレに近い場所にする等の配慮をすること
○補助器具・サービスの提供
<情報提供・利用手続きについての配慮や工夫>
・ 説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データ(コー
ド化したものを含む)の提供や必要に応じて代読・代筆を行うこと
・ 手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書を使用するなど、本人が
希望する方法でわかりやすい説明を行うこと
・ 文書を読み上げたり、口頭による丁寧な説明を行うこと
・ 電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利
用受付を行うこと
<建物や設備についての配慮や工夫>
・ 電光表示板、磁気誘導ループなどの補聴装置の設置、点字サイン付き手
すりの設置、音声ガイドの設置を行うこと
・ 色の組み合わせによる見にくさを解消するため、標示物や案内図等の配
色を工夫すること
・ トイレ、作業室など部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表
示などを設けること
・ パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設けること
<職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供につい
ての配慮や工夫>
・ 館内放送を文字化したり、電光表示板で表示したりすること
・ 必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置すること
・ 口話が読めるようマスクを外して話をすること
・ ICT(コンピューター等の情報通信技術)を活用したコミュニケーショ
ン機器(データを点字に変換して表示する、音声を文字変換する、表
示された絵などを選択することができる機器など)を設置すること
※ 第2(2)①合理的配慮の基本的な考え方<環境整備との関係>において
も触れましたが、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前の改
善措置については、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施
に努めることとされています。そのうち、バリアフリーに関しては下記の
ような整備が一例として考えられます。
・施設内の段差を解消すること、スロープを設置すること
・トイレや浴室をバリアフリー化・オストメイト対応にすること
・床をすべりにくくすること
・階段や表示を見やすく明瞭にすること
・車椅子で利用しやすい高さにカウンターを改善すること
(3)障害特性に応じた対応について
障害者と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。
以下に、代表的な障害特性と対応時に配慮すべき事項について簡単にまとめて
います。
このほか、障害児については、成人の障害者とは異なる支援の必要性があり
ます。子どもは成長、発達の途上にあり、乳幼児期の段階から、個々の子ども
の発達の段階に応じて一人ひとりの個性と能力に応じた丁寧に配慮された支援
を行う発達支援が必要です。また、子どもを養育する家族を含めた丁寧かつ早
い段階からの家族支援が必要です。特に、保護者が子どもの障害を知った時の
気持ちを出発点とし、障害を理解する態度を持つようになるまでの過程におい
ては、関係者の十分な配慮と支援が必要です。
また、医療的ケアを要する障害児については、配慮を要する程度に個人差が
あることに留意し、医療機関等と連携を図りながら、個々の状態や必要な支援
を丁寧に確認し、適切な支援を行うことが必要です。
視覚障害(視力障害・視野障害)
〔主な特性〕
・先天性で受障される方のほか、最近は糖尿病性網膜症などで受障される人も多く、
高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い
・視力障害:視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡
大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられる
(全盲、弱視といわれることもある)
* 視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報
を手がかりに周囲の状況を把握している
* 文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフト
を用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きができる人ばかりではない)
* 視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり文字を拡大したり近
づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ている

厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進(各事業者向けガイドラインについて)-2

第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
(1)不当な差別的取扱い
①不当な差別的取扱いの基本的考え方
法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、サービス等
の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者
でない者に対しては付さない条件を付するなどにより、障害者の権利利益を
侵害することを禁止しています。
なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措
置は、不当な差別的取扱いではないことに留意する必要があります。
したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積
極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害
者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供するために必要な範囲で、
プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差
別的取扱いには当たりません。
不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事
業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うこ
とです。
②正当な理由の判断の視点
不当な差別的取扱いであるのかどうかの判断には、その取扱いを行う正当
な理由の有無が重要となります。正当な理由に相当するのは、障害者に対し
て、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取
扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照ら
してやむを得ないと言える場合です。
正当な理由に相当するか否かについて、事業者は、個別の事案ごとに、障害
者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・
内容・機能の維持、損害発生の防止など)の観点に鑑み、具体的場面や状況に
- 10 -
応じて総合的・客観的に判断することが必要であり、事業者は、正当な理由が
あると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得る
よう努めることが望まれます。
なお、「客観的に判断する」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、
その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得
を得られるような「客観性」が必要とされるものです。
また、「正当な理由」を根拠に、不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨が
形骸化されるべきではなく、抽象的に事故の危惧がある、危険が想定される
といった理由によりサービスを提供しないといったことは適切ではありませ
ん。
(2)合理的配慮
①合理的配慮の基本的な考え方
<合理的配慮とは>
権利条約第2条において、合理的配慮は、「障害者が他の者との平等を基礎
として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するため
の必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるも
のであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されて
います。
法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、事業者に対し、その事
業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を
必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が
過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的
障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」とい
う。)を行うことを求めています。
合理的配慮は、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範
囲で本来の業務に付随するものに限られ、障害者でない者との比較において同
等の機会の提供を受けるためのものであり、事業の目的・内容・機能の本質的
- 11 -
な変更には及びません。
合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状
況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置か
れている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について様々
な要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を
通じ、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされるものです。合理的配慮の
内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変遷することにも留意すべき
です。
<意思の表明>
意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する
配慮を必要としている状況にあることを、言語(手話を含む。)のほか、点字、
拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝
達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介
するものを含む。)により伝えられます。
また、障害者からの意思の表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害
を含む。)等により本人からの意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、
支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補
佐して行う意思の表明も含まれます。
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者等を伴っていな
いことなどにより、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障
壁の除去を必要としていることが明白であるときには、法の趣旨に鑑みれば、
当該障害者に対して適切と思われる配慮を提供するために自主的に取り組む
ことが望まれます。
<環境整備との関係>
法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(いわ
ゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関のバリアフリー化、意思表示
- 12 -
やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者・支援者等の人的支
援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリテ
ィの向上等)については、個別の場合において、個々の障害者に対して行われ
る合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとして
います。
新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともある
ことから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待されています。また、環境の
整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含ま
れることが重要です。
障害者差別の解消のための取組は、このような環境の整備を行うための施策
と連携しながら進められることが重要であり、ハード面でのバリアフリー化施
策、情報の取得・利用・発信における情報アクセシビリティ向上のための施策、
職員に対する研修等、環境の整備の施策を着実に進めることが必要です。
合理的配慮は、上述の、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物の
バリアフリー化、支援者・介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上
等の環境の整備を基礎として、その上で、個々の障害者に対して、その状況に
応じて個別に実施される措置です。従って、各場面における環境の整備の状況
により、合理的配慮の内容は異なることとなります。また、障害の状態等が変
化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合には、提
供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要です。
②過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、事業者において、具体的な検討をせずに過重な負担
を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下
の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断すること
が必要であり、過重な負担に当たると判断した場合、障害者にその理由を説明
するものとし、理解を得るよう努めることが望まれます。
- 13 -
*事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
当該措置を講ずることによるサービス提供への影響、その他の事業への影響の程度。
*実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
事業所の立地状況や施設の所有形態等の制約にも応じた、当該措置を講ずるための
機器や技術、人材の確保、設備の整備等の実現可能性の程度。
*費用・負担の程度
当該措置を講ずることによる費用・負担の程度。複数の障害者から合理的配慮に関
する要望があった場合、それらの複数の障害者に係る必要性や負担を勘案して判断
することとなります。
*事務・事業規模
当該事業所の規模に応じた負担の程度。
*財務状況
当該事業所の財務状況に応じた負担の程度。

厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進(各事業者向けガイドラインについて)-1



福祉事業者向けガイドライン
福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成27年11月11日厚生労働大臣決定)

~福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針~

- 1 -
第1 趣旨
(1)障害者差別解消法制定の経緯
近年、障害者の権利擁護に向けた取組が国際的に進展し、平成18 年に国連
において、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、並びに障害者の固有
の尊厳の尊重を促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者の権
利に関する条約(以下「権利条約」という。)が採択されました。我が国は、平
成19 年に権利条約に署名し、以来、国内法の整備を始めとする取組を進めて
きました。
権利条約は第2条において、「「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあら
ゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的
その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び
基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は
効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理
的配慮の否定を含む。)を含む。」と定義し、その禁止について、締約国に全て
の適当な措置を求めています。
我が国においては、平成16 年の障害者基本法(昭和45年法律第84号)
の改正において、障害者に対する差別の禁止が基本的理念として明示され、さ
らに、平成23 年の同法改正の際には、権利条約の趣旨を踏まえ、同法第2条
第2号において、社会的障壁について、「障害がある者にとつて日常生活又は社
会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その
他一切のものをいう。」と定義されるとともに、基本原則として、同法第4条第
1項に、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の
権利利益を侵害する行為をしてはならない」こと、また、同条第2項に、「社会
的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に
伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反する
こととならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければ
ならない」ことが規定されました。
- 2 -
■ 障害者差別解消法関係の経緯
平成 16 年 6 月 4 日 障害者基本法改正
※ 施策の基本的理念として差別の禁止を規定
平成 18 年12 月13 日 第61 回国連総会において障害者権利条約を採択
平成 19 年 9 月 28 日 日本による障害者権利条約への署名
平成 23 年 8 月 5 日 障害者基本法改正
※ 障害者権利条約の考え方を踏まえ、合理的配慮の概
念を規定
平成 25 年 4 月26 日 障害者差別解消法案閣議決定、国会提出
6 月26 日 障害者差別解消法 公布・一部施行
平成 26 年 1 月20 日 障害者の権利に関する条約締結
平成 27 年 2 月24 日 障害者差別解消法「基本方針」閣議決定
平成 28 年 4月 1日 障害者差別解消法施行(予定)
【参考ページ】
- 3 -
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25 年法律第65 号。
以下「法」という。)は、障害者基本法の差別の禁止の基本原則を具体化するも
のであり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互
に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別の解
消を推進することを目的として、平成25 年6月に制定されました。我が国は、
法の制定を含めた一連の障害者施策に係る取組の成果を踏まえ、平成26 年1
月に権利条約を締結しました。
法は、平成28 年4月1日から施行されることになっています。
(2)対象となる障害者
対象となる障害者・障害児(以下「障害者」という。)は、障害者基本法第2
条第1号に規定する障害者、すなわち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達
障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある
者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当
な制限を受ける状態にあるもの」です。
これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、
知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起
因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と
相対することによって生ずるというモデル(いわゆる「社会モデル」)の考え方
を踏まえているものです。したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障
害者手帳の所持者に限りません。なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれて
います。
また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、さら
に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障
害者とは異なる支援の必要性があることに留意する必要があります。


■ 障害者権利条約とは
障害者権利条約は、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の
尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置等につい
て定めた条約です。
2006(平成18)年12 月13 日に国連総会において採択され、2008(平成20)年5
月3 日に発効しました。我が国は2007(平成19)年9 月28 日に条約に署名し、2014
(平成26)年1 月20 日に批准書を寄託しました。また、同年2 月19 日に同条約は
我が国について効力を発生しました。
この条約の主な内容としては、以下のとおりです。
(1)一般原則
障害者の尊厳、自律及び自立の尊重、無差別、社会への完全かつ効果的な参加
及び包容等
(2)一般的義務
合理的配慮の実施を怠ることを含め、障害に基づくいかなる差別もなしに、す
べての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及
び促進すること等
(3)障害者の権利実現のための措置
身体の自由、拷問の禁止、表現の自由等の自由権的権利及び教育・労働等の社
会権的権利について締約国がとるべき措置等を規定。社会権的権利の実現につい
ては漸進的に達成することを許容
(4)条約の実施のための仕組み
条約の実施及び監視のための国内の枠組みの設置。障害者の権利に関する委員
会における各締約国からの報告の検討

(3)障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針
法第6条第1項の規定に基づき、「障害を理由とする差別の解消の推進に関す
る基本方針」(平成27 年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)が
策定されました。
基本方針は、障害を理由とする差別の解消の推進は、雇用、教育、医療、公
共交通等、障害者の自立と社会参加に関わるあらゆる分野に関連し、各府省の
所掌に横断的にまたがる施策であるため、政府として、施策の総合的かつ一体
的な推進を図るとともに、行政機関間や分野間における取組のばらつきを防ぐ
ため、施策の基本的な方向等を示したものです。
(4)福祉分野における対応指針
法第11 条第1項の規定に基づき、主務大臣は、基本方針に即して、事業者
が法第8条に規定する事項に関し、適切に対応するために必要な指針(以下「対
応指針」という。)を定めることとされています。
本指針は、上に述べた法の目的を達成するため、特に福祉分野に関わる事業
者の対応指針を定めたものです。
本指針において定める措置については、「望まれます」と記載されている内容
等法的義務ではないものも含まれますが、法の目的を踏まえ、具体的場面や状
況に応じて柔軟な対応を積極的に行うことが期待されるものです。
なお、事業者は、障害を理由とする差別を解消するための取組を行うに当た
り、法、基本方針及び本指針に示す項目のほか、各事業に関連する法令等の規
定を順守しなければなりません。
また、福祉の専門知識及び技術をもって福祉サービスを提供する事業者は、
日頃から、障害に関する理解や障害者の人権・権利擁護に関する認識を深める
とともに、より高い意識と行動規範をもって障害を理由とする差別を解消する
ための取組を進めていくことが期待されます。

■ 本指針に関する障害者差別解消法の参照条文
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25 年法律第65 号)
(目的)
第1条 この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者で
ない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふ
さわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推
進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消す
るための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全て
の国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合い
ながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
第6条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実
施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針を定めなければならな
い。
2~6 (略)
(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差
別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としてい
る旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害
者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に
応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなけれ
ばならない。
(事業者のための対応指針)
第11 条 主務大臣は、基本方針に即して、第8条に規定する事項に関し、事業者が適切に対
応するために必要な指針を定めるものとする。
2 (略)
(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第12 条 主務大臣は、第8条の規定の施行に関し、特に必要があると認める時は、対応指針
に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告を
することができる。

本指針の対象となる福祉事業者の範囲は、社会福祉法(昭和26 年法律第45
号)第2条に規定する社会福祉事業その他の福祉分野に関わる事業を行う事業
者です。
「本指針の対象となる福祉事業者」
・生活保護関係事業(救護施設、更生施設などを経営する事業など)
・児童福祉、母子福祉関係事業(乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、
障害児入所施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設を経営する
事業、障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、保育所、婦人保護施設、
母子・父子福祉施設など)
・老人福祉関係事業(養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを経営する事
業、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業など)
・障害福祉関係事業(障害者支援施設を経営する事業、障害福祉サービス事
業、身体障害者生活訓練等事業、補装具製作施設など)
・隣保事業
・福祉サービス利用援助事業 など
なお、基本方針において、「事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共
団体の経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含み、国、独立行政法
人等、地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人を除く。)であり、
目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意
思をもって行う者である。したがって、例えば、個人事業者や対価を得ない無
報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も
対象となる。」と規定されています。

本指針の対象となる福祉事業者の範囲は、社会福祉法(昭和26 年法律第45
号)第2条に規定する社会福祉事業その他の福祉分野に関わる事業を行う事業
者です。
「本指針の対象となる福祉事業者」
・生活保護関係事業(救護施設、更生施設などを経営する事業など)
・児童福祉、母子福祉関係事業(乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、
障害児入所施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設を経営する
事業、障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、保育所、婦人保護施設、
母子・父子福祉施設など)
・老人福祉関係事業(養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを経営する事
業、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業など)
・障害福祉関係事業(障害者支援施設を経営する事業、障害福祉サービス事
業、身体障害者生活訓練等事業、補装具製作施設など)
・隣保事業
・福祉サービス利用援助事業 など
なお、基本方針において、「事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共
団体の経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含み、国、独立行政法
人等、地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人を除く。)であり、
目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意
思をもって行う者である。したがって、例えば、個人事業者や対価を得ない無
報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も
対象となる。」と規定されています。

注)事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措
置については、法第13 条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35 年法律第123
号)の定めるところによることとされており、同法に基づき別途定められた「障害者差別禁止指
針(※1)」及び「合理的配慮指針(※2)」を参照してください。
※1 「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」
(平成27 年厚生労働省告示第116 号)
※2 「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の
有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」
(平成27 年厚生労働省告示第117 号)

■ 国の「基本方針」に定められた「対応指針」に関する規定
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27 年2 月24 日閣議決定)
Ⅳ 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項
2 対応指針
(1)対応指針の位置付け及び作成手続
主務大臣は、個別の場面における事業者の適切な対応・判断に資するための対応指針を
作成するものとされている。作成に当たっては、障害者や事業者等を構成員に含む会議の
開催、障害者団体や事業者団体等からのヒアリングなど、障害者その他の関係者の意見を
反映させるために必要な措置を講ずるとともに、作成後は、対応指針を公表しなければな
らない。
なお、対応指針は、事業者の適切な判断に資するために作成されるものであり、盛り込
まれる合理的配慮の具体例は、事業者に強制する性格のものではなく、また、それだけに
限られるものではない。事業者においては、対応指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じ
て柔軟に対応することが期待される。
(2)対応指針の記載事項
対応指針の記載事項としては、以下のものが考えられる。
①趣旨
②障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
③障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例
④事業者における相談体制の整備
⑤事業者における研修・啓発
⑥国の行政機関(主務大臣)における相談窓口

厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領






 

(平成27年11月27日厚生労働省訓第45号)



厚生労働省訓第45号
(部内一般)
厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領を次のように
定める。
平成27年11月27日
厚生労働大臣 塩崎 恭久
厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領
(目的)
第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に
関する法律(平成25 年法律第65 号。以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき、
また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27 年2月24 日閣議
決定。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、厚生労働省職員(中央労働委員会事
務局職員を除く。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるも
のとする。
(不当な差別的取扱いの禁止)
第2条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障
害(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害をい
う。以下この対応要領において同じ。)を理由として、障害者(障害及び社会的障壁によ
り継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下この対応
要領において同じ。)でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利
益を侵害してはならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するも
のとする。なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合で
あっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第8
4号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれること
を意味する(次条において同じ。)。
(合理的配慮の提供)
第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障
害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、
その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならない
よう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施につ
いて必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。
これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。
(監督者の責務)
第4条 職員のうち、課長相当職以上の地位にある者(以下「監督者」という。)は、前2
条に掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げ
る事項を実施しなければならない。
- 2 -
一 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その監督
する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせるこ
と。
二 障害者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し
出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。
三 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供
を適切に行うよう指導すること。
2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対
処しなければならない。
(懲戒処分等)
第5条 職員が、障害者に対し不当な差別的取扱いをし、又は、過重な負担がないにも関
わらず合理的配慮の不提供をした場合、その態様等によっては、職務上の義務に違反し、
又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。
(相談体制の整備)
第6条 厚生労働省に、その職員から障害を理由とする差別を受けた障害者及びその家族
その他の関係者(以下「相談者」という。)からの相談等に的確に対応するための相談窓
口を設置する。
2 前項に規定する相談窓口は、本省内部部局にあっては大臣官房人事課長が、施設等機
関及び地方支分部局にあっては、それぞれの長が定める。
3 相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、
ファックス、電子メールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要と
なる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。
4 相談窓口は、相談者から相談の内容となる事実の詳細その他必要な情報を聴取し、事
実確認をしたうえで、相談対象事案があると認めるときは、速やかに是正措置及び再発
防止策等を採るものとする。
5 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、大臣官房人事課に集約し、相談者のプライ
バシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することと
する。
6 第1項の相談窓口は、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。
(研修・啓発)
第7条 障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修・啓発
を行うものとする。
2 新たに職員となった者に対しては、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事
項について理解させるために、また、新たに監督者となった職員に対しては、障害を理
由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、研
修を実施する。
3 職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要
- 3 -
なマニュアル等により、意識の啓発を図る。
附 則
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
- 4 -
別紙
厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留
意事項
第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方
法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会
の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対
しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止し
ている。
ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不
当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱
い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障
害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライ
バシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当
たらない。
このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又
は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことであ
る点に留意する必要がある。
第2 正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種
機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、
その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。厚生労働省においては、正当な理
由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして
法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の
確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び厚生労働省の事務又は事業の目的・内容・機
能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必
要である。
職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、
理解を得るよう努めることが望ましい。
第3 不当な差別的取扱いの具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で示したと
おり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されるこ
ととなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないこと
を前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例
だけに限られるものではないことに留意する必要がある。
(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)
- 5 -
○ 障害を理由に窓口対応を拒否する。
○ 障害を理由に対応の順序を後回しにする。
○ 障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。
○ 障害を理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。
○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に
付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付
き添い者の同行を拒んだりする。
○ 障害を理由に、診療、入院等を拒否すること。
○ 本人又はその家族等の意思(障害のある方の意思を確認することが困難な場合に限る。)
に反したサービス(施設への入所など)を行うこと。
第4 合理的配慮の基本的な考え方
1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配
慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又
は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合に
おいて必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」
と定義されている。
法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又
は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要
としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないと
きは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施につ
いて、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障
害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ず
るものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益
を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障
壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないも
のである。
合理的配慮は、厚生労働省の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされ
る範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において
同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の
本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。
2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じ
て異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏
まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第5 過重な負担の基本的な
考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互
理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、
合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。
合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。
なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長
期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に
- 6 -
入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。
3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必
要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実
物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミ
ュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等
により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人
等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴って
いない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を
必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して
適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努
めることが望ましい。
4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、
介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々
の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場
面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障
害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等
には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
5 厚生労働省が、事務又は事業の全部又は一部を委託等する場合は、提供される合理的
配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、
委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めるこ
とが望ましい。
第5 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の
趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に
応じて総合的・客観的に判断することが必要である。職員は、過重な負担に当たると判断
した場合は、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。
○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か)
○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
○ 費用・負担の程度
第6 合理的配慮の具体例
第4で示したとおり、合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体
的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次
のようなものがある。
なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提と
していること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限ら
れるものではないことに留意する必要がある。
- 7 -
(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例)
○ 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを
渡すなどする。
○ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分
かりやすく伝える。
○ 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・
左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。
○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。
○ 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難で
あったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨
時の休憩スペースを設ける。
○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さ
えたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。
○ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚
障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図
る。
(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例)
○ 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字などのコミュニケーション手段を用いる。
○ 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号
等が異なりうることに留意して使用する。
○ 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよ
う電子データ(テキスト形式)で提供する。
○ 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。
○ 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。
○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやすい記述で伝
達したりする。本人の依頼がある場合には、代読といった配慮を行う。
○ 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的
に説明する。
○ 障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解さ
れたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用い
ない、時刻は24 時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモ
を、必要に応じて適時に渡す。
○ 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害の
ある委員や知的障害を持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を
行う。
○ 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行う等、可
能な範囲での配慮を行う。
- 8 -
(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)
○ 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ
替える。
○ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者
の順番が来るまで別室や席を用意する。
○ スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保
する。
○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。
○ 厚生労働省の敷地内の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、
障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。
○ 入館時にICカードゲートを通過することが困難な場合、別ルートからの入館を認める。
○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、当該
障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。
○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを
前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。
(障害特性に応じた留意点について)
障害特性に応じた対応の具体例に関しては、「障害者差別解消法福祉事業者向けガイド
ライン~福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置
に関する指針~」第3(3)に代表的な障害特性と対応時に配慮すべき事項について示さ
れているので、別添に留意されたい。
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別添
障害者差別解消法福祉事業者向けガイドライン~福祉分野における事業者
が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する指針~
第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例
(3)障害特性に応じた対応について
障害者と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。
以下に、代表的な障害特性と対応時に配慮すべき事項について簡単にまとめて
います。
このほか、障害児については、成人の障害者とは異なる支援の必要性があり
ます。子どもは成長、発達の途上にあり、乳幼児期の段階から、個々の子ども
の発達の段階に応じて一人ひとりの個性と能力に応じた丁寧に配慮された支援
を行う発達支援が必要です。また、子どもを養育する家族を含めた丁寧かつ早
い段階からの家族支援が必要です。特に、保護者が子どもの障害を知った時の
気持ちを出発点とし、障害を理解する態度を持つようになるまでの過程におい
ては、関係者の十分な配慮と支援が必要です。
また、医療的ケアを要する障害児については、配慮を要する程度に個人差が
あることに留意し、医療機関等と連携を図りながら、個々の状態や必要な支援
を丁寧に確認し、適切な支援を行うことが必要です。
視覚障害(視力障害・視野障害)
〔主な特性〕
・先天性で受障される方のほか、最近は糖尿病性網膜症などで受障される人も多く、
高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い
・視力障害:視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡
大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられる
(全盲、弱視といわれることもある)
* 視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報
を手がかりに周囲の状況を把握している
- 10 -
* 文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフト
を用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きができる人ばかりではない)
* 視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり文字を拡大したり近
づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ている