2019年10月29日火曜日

厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進(各事業者向けガイドラインについて)-3









第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例
(1)不当な差別的取扱いと考えられる例
事業者が福祉サービスを提供するに際して、次のような取扱いをすること
は「不当な差別的取扱い」となるおそれがあります。
ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではありま
せん。また、客観的にみて正当な理由が存在する場合(第2(1)②参照)は、
不当な差別的取扱いに該当しない場合があることにご留意ください。



○サービスの利用を拒否すること
・ 人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、医
療的ケアの必要な障害者、重度の障害者、多動の障害者の福祉サービス
の利用を拒否すること
・ 身体障害者補助犬の同伴を拒否すること
○サービスの利用を制限すること(場所・時間帯などの制限)
・ 正当な理由なく、対応を後回しにすること、サービス提供時間を変更又
は限定すること
・ 正当な理由なく、他の者とは別室での対応を行うなど、サービス提供場
所を限定すること
・ 正当な理由なく、サービス事業所選択の自由を制限すること(障害当事
者が望まないサービス事業者をすすめるなど)
・ サービスの利用に必要な情報提供を行わないこと
○サービスの利用に際し条件を付すこと(障害のない者には付さない条件を付
すこと)
・ 保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること
・ サービスの利用に当たって、他の利用者と異なる手順を課すこと(仮
利用期間を設ける、他の利用者の同意を求めるなど)
○サービスの利用・提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること
・ 正当な理由なく、行事、娯楽等への参加を制限すること
・ 正当な理由なく、年齢相当のクラスに所属させないこと
・ 本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかけること
・ 正当な理由なく、本人の意思又はその家族等の意思(障害のある方の
意思を確認することが困難な場合に限る。)に反して、福祉サービス(施
設への入所、通所、その他サービスなど)を行うこと
■ 身体障害者補助犬とは
「身体障害者補助犬」は、目や耳や手足に障害のある方の生活をお手伝い
する、「盲導犬」・「聴導犬」・「介助犬」のことです。
身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別な訓練を受けています。
補助犬の種類
○盲導犬
目の見えない人、見えにくい人が街なかを安全に歩けるようにサポートします。障
害物を避けたり、立ち止まって曲がり角を教えたりします。ハーネス(胴輪)をつけて
います。
○介助犬
手や足に障害のある人の日常の生活動作をサポートします。物を拾って渡したり、
指示したものを持ってきたり、着脱衣の介助などを行ないます。“介助犬”と書かれ
た表示をつけています。
○聴導犬
音が聞えない、聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。玄関のチャ
イム音・FAX 着信音・赤ちゃんの泣き声などを聞き分けて教えます。“聴導犬”と書
かれた表示をつけています。
補助犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることのできるさ
まざまな場所で受け入れるよう義務づけられています。「犬だから」という理由で受け
入れを拒否しないでください。
補助犬の同伴を受け入れる義務がある場所
・ 国や地方公共団体などが管理する公共施設・ 公共交通機関(電車、バス、タクシー
など)
・ 不特定かつ多数の人が利用する民間施設-商業施設、飲食店、病院、ホテルなど
・ 事務所(職場)-国や地方公共団体などの事務所-従業員50 人以上の民間企業
補助犬の同伴を受け入れる努力をする必要がある場所
・ 事務所(職場)-従業員50 人未満の民間企業
・ 民間住宅
補助犬の受け入れ施設の方へ
●補助犬は、ユーザーの指示に従い待機することができるので、特別な設備は必要あり
ません。
●補助犬の同伴を受け入れる際に他のお客様から苦情がある場合は、「身体障害者補助
犬法」で受け入れ義務があること、補助犬の行動や健康の管理はユーザーが責任をも
って行なっていることを説明し、理解を求めてください。
●補助犬が通路をふさいだり、周りのにおいを嗅ぎ回ったり、その他、何か困った行動
をしている場合は、そのことを補助犬ユーザーにはっきり伝えてください。
●補助犬を同伴していても、補助犬ユーザーへの援助が必要な場合があります。補助犬
ユーザーが困っている様子を見かけたら、まずは声をかけたり、筆談をしたりコミュ
ニケーションをとってください。(2)合理的配慮と考えられる例
事業者は、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要
としている旨の意思の表明があった場合には、次のような合理的配慮を提供
することが求められています。合理的配慮を提供する際には、障害者の性別、
年齢、状態等に十分に配慮することが必要です。
ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではあり
ません。また、事業者に強制する性格のものではなく、ここに記載された事
例であっても、事業者の事業規模等によっては過重な負担となる可能性があ
るため、事業者においては、法、基本方針及び本指針を踏まえ、具体的場面
や状況に応じて柔軟に対応することが期待されます。
なお、合理的配慮の提供に当たっては、個別の支援計画(サービス等利用
計画、ケアプラン等)に位置付けるなどの取組も望まれます。
○基準・手順の柔軟な変更
・ 障害の特性に応じた休憩時間等の調整などのルール、慣行を柔軟に変
更すること
○物理的環境への配慮
・ 施設内の段差にスロープを渡すこと
・ エレベータ-がない施設の上下階に移動する際、マンパワーで移動を
サポートすること
・ 場所を1階に移す、トイレに近い場所にする等の配慮をすること
○補助器具・サービスの提供
<情報提供・利用手続きについての配慮や工夫>
・ 説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データ(コー
ド化したものを含む)の提供や必要に応じて代読・代筆を行うこと
・ 手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書を使用するなど、本人が
希望する方法でわかりやすい説明を行うこと
・ 文書を読み上げたり、口頭による丁寧な説明を行うこと
・ 電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利
用受付を行うこと
<建物や設備についての配慮や工夫>
・ 電光表示板、磁気誘導ループなどの補聴装置の設置、点字サイン付き手
すりの設置、音声ガイドの設置を行うこと
・ 色の組み合わせによる見にくさを解消するため、標示物や案内図等の配
色を工夫すること
・ トイレ、作業室など部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表
示などを設けること
・ パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設けること
<職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供につい
ての配慮や工夫>
・ 館内放送を文字化したり、電光表示板で表示したりすること
・ 必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置すること
・ 口話が読めるようマスクを外して話をすること
・ ICT(コンピューター等の情報通信技術)を活用したコミュニケーショ
ン機器(データを点字に変換して表示する、音声を文字変換する、表
示された絵などを選択することができる機器など)を設置すること
※ 第2(2)①合理的配慮の基本的な考え方<環境整備との関係>において
も触れましたが、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前の改
善措置については、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施
に努めることとされています。そのうち、バリアフリーに関しては下記の
ような整備が一例として考えられます。
・施設内の段差を解消すること、スロープを設置すること
・トイレや浴室をバリアフリー化・オストメイト対応にすること
・床をすべりにくくすること
・階段や表示を見やすく明瞭にすること
・車椅子で利用しやすい高さにカウンターを改善すること
(3)障害特性に応じた対応について
障害者と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。
以下に、代表的な障害特性と対応時に配慮すべき事項について簡単にまとめて
います。
このほか、障害児については、成人の障害者とは異なる支援の必要性があり
ます。子どもは成長、発達の途上にあり、乳幼児期の段階から、個々の子ども
の発達の段階に応じて一人ひとりの個性と能力に応じた丁寧に配慮された支援
を行う発達支援が必要です。また、子どもを養育する家族を含めた丁寧かつ早
い段階からの家族支援が必要です。特に、保護者が子どもの障害を知った時の
気持ちを出発点とし、障害を理解する態度を持つようになるまでの過程におい
ては、関係者の十分な配慮と支援が必要です。
また、医療的ケアを要する障害児については、配慮を要する程度に個人差が
あることに留意し、医療機関等と連携を図りながら、個々の状態や必要な支援
を丁寧に確認し、適切な支援を行うことが必要です。
視覚障害(視力障害・視野障害)
〔主な特性〕
・先天性で受障される方のほか、最近は糖尿病性網膜症などで受障される人も多く、
高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い
・視力障害:視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡
大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられる
(全盲、弱視といわれることもある)
* 視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報
を手がかりに周囲の状況を把握している
* 文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフト
を用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きができる人ばかりではない)
* 視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり文字を拡大したり近
づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ている

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